成長する調剤薬局と廃業する調剤薬局の10の違い

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成長する調剤薬局と廃業する調剤薬局の10の違い

今後伸びていく薬局かどうかを見極める為の10要因

貴方は、転職先候補となる調剤薬局を決める際に何を一番重視しますか?

多くの人は、薬剤師の求人案件に記載されている「給与」「雇用形態」「勤務地」「勤務時間」「業務内容」「福利厚生」・・・といった要項を目安にして転職先候補を決めているのではないでしょうか?

一時的にパートやアルバイトとして働くつもり
子育てや介護等の個人的な事情によって近隣でしか働くことが出来ない
専門的な知識やスキルを身に付ける等の目的を果たす為には、その職場しかない
・・・・・etc

このような理由や事情であれば特に問題はないと思いますが、本当に長期的に安心して働ける調剤薬局に転職したいのであれば、求人案件に記載されている要項だけを目安に転職先候補を決めるべきではありません。
貴方も既にご存知の通り、薬剤師の主な職場である調剤薬局やドラッグストアや病院を取り巻く環境は大きく変化しようとしています。
超少子高齢化の到来、社会保障制度維持を目的とした医療制度の改革や法改正、調剤報酬のマイナス改定、医薬品のネット販売解禁等の規制緩和、処方箋枚数の伸び悩み、業者間での競争の激化・・・・etc

このように、社会や環境が大きく変化しようとしている状況においては、既存の常識やビジネスモデルといったものは、そう遠くない内に通用しなくなってしまうのです。

そのような状況の中で、求人案件の要項だけを目安に安易に転職してしまうと、

「せっかく良い条件で転職できたと思ったのに、薬局が廃業してしまった」
「経営状況の悪化により薬剤師の新規採用が出来ず、休みが取れなくなった」
「ボーナスが出なくなった」「給料が上がらなくなった」・・・・

といったことにもなり兼ねません。

では、転職先候補となる調剤薬局を決める際には、求人案件に記載されている要項以外の何を重視すれば良いのでしょうか?

それは、「その調剤薬局が今後も伸びていくかどうか」です。

例え、いくら現在の経営状況が良かったとしても、その状況が今後も続くとは限りません。
逆に、現状はあまり良くなかったとしても、将来的には大きく伸びることもあり得ます。
これからの薬剤師の転職においては、このような長期的な視点を持った職場選びが出来るかどうかが非常に重要になってくるのです。

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今回のコラムは、“今後、伸びていく薬局かどうかを見極める為の10要因”について説明していきます。

将来を確実に予測出来るとは言いませんが、転職先候補となる調剤薬局の現状と将来性を計る為のヒントは間違いなく含まれていると思います。

是非、今後の転職活動の参考にしてください。

 

ネット上の情報は参考程度にしておくこと

“今後、伸びていく薬局かどうかを見極める為の10要因”についての具体的な話を進めていく前に、転職活動時にほとんどの人が使うと思われるインターネット上から得られる情報の取り扱いについての注意点を説明しておきたいと思います。
まず、転職先候補となりそうな調剤薬局が見つかった場合には、インターネットを使ってその調剤薬局のホームページを確認するという人も多いと思いますが、そこにどのようなことが記載されていたとしても、その内容をそのまま鵜呑みにしないという意識を持つことが必要になってきます。

何故なら、ホームページに記載されている内容が、すべて“真実”とは限らないからです。
普通の経営者であれば、嘘は記載しないまでも、自社にとって都合の悪い情報や、ホームページを見た人に悪い印象を抱かせるような情報はまず記載しません。

どうせなら「少しでも良い印象を与えたい」と思うのが当り前なのです。
例えば、「社長挨拶」や「企業理念」といったものは、その多くが綺麗事ばかりで、社長の本当の考えや企業の方向性をそのまま示しているとは限りません。
証拠という訳ではありませんが、いくつかの調剤薬局のホームページを見てもらえば、そこに記載されている内容には大差がないということがご理解頂けると思います。
※勿論、中には素晴らしい理念を持って調剤薬局を開業した社長もいます。

しかし、その真偽はホームページを確認するだけでは不可能です。
また、店舗数や売上高を謳っている企業も数多くありますが、これもホームページに記載されている情報だけでは、本当の状況を理解することは出来ません。
いくら店舗数が多かったり大きな売上げを計上していたとしても、それらの店舗が利益を出せているかどうかは分かりませんし、もしかすると、事業規模に見合わないような多大な負債を抱えていることも考えられるのです。

つまりは、情報の出し方や見せ方次第で、どのようにも印象は操作出来るということです。
このことだけは、しっかりと頭に入れておいて下さい。

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次に、ネット上の口コミについて説明します。

情報収集に熱心な人は、少しでも情報を得ようとして、その調剤薬局に対する口コミを探すこともあると思いますが、その際にも注意しなければならないことがあります。
それは、ネット上の口コミの大半は、あくまでも“個人的な意見”であって真実とは限らないということです。
個人の意見というものは、立場、環境、状況、タイミング、経験、知識、固定観念、価値観、志向、目的、願望・・・等々、多くの要因によって変わります。

例えば、二人同時にまったく同じ経験をしたとしても、その捉え方によって、それぞれが真逆の感情を抱いたり、異なった意見を持つことも決して少なくはありません。
このことを理解している人は多いと思いますが、それでも、一定数の人は口コミというものを過度に信用してしまう傾向があります。
特に、その口コミに辿り着くまでに掛けた労力が大きければ大きいほど、「これだけ苦労して見つけた情報だから真実に違いない」といったバイアスが働き、まったく見ず知らずの人間の信憑性の無い意見を、貴重な情報だと思い込んでしまうので注意が必要です。

また、ネット上の口コミの多くは、何らかの意図や目的を持って書かれているということも充分に理解しておく必要があります。
例えば、業者が第三者を装って、自社のサービスを高く評価したり、自社のホームページへ誘導することを目的として口コミを書いていることは非常に多いです。
或いは、まったく個人的な恨みや妬みといった理由から、過去に働いていた会社等を貶める為にまったく事実に沿わないような口コミをする人も少なくありません。
口コミを見る場合には、このようなことをしっかりと理解した上で、書かれている内容を安易に信用し過ぎないように注意してください。

インターネットは非常に便利な情報収集ツールではありますが、使う人の認識やスキルであったり使い方によって、得られるものは大きく変わってきます。
上記の説明で、ネット上の情報に対する評価が低くなってしまったかもしれませんが、当然、各ホームページや口コミの中には、情報収集側にとって貴重な情報や参考になる情報も無数に存在しています。

大事なのは、それらを見極める目を持つことです。
ネット上から情報を収集する場合には、情報をそのまま受け取るのではなく、その情報の裏側や情報発信者側の意図を推察したり、自分にとって本当に必要な情報かどうかの取捨選択をしっかりと行うという意識を常に持っておくことが必要なのです。

それでは、ネット上の情報の取り扱いについての注意点もご理解頂けたと思いますので、以下からは、当コラムの趣旨である“今後、伸びていく薬局かどうかを見極める為の10要因”についての説明に移りたいと思います。

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“今後、伸びていく薬局かどうかを見極める為の10要因”

以下に示す10の要因をしっかりと見極めることで、その調剤薬局の将来を、ある程度の確率で判断出来るようになります。

転職先候補となりそうな調剤薬局を見つけた場合に、いきなり面接を申し込むのではなく、事前に以下の要因を確認しておくようにすれば、無駄な面接に時間や労力を掛けることを予防出来ますし、面接時には、確認事項や面接担当者への質問の中身が変わり、転職の失敗に対するリスクを大幅に減らせるようにもなるはずです。

ホームページの内容、インターネット上の情報、患者さんの声、地域の評判、スタッフや店舗内の様子、取引業者の評判、キャリアコンサルタントからの情報、面接時・・・etc

あらゆる情報源や機会を駆使して、しっかりと見極めるようにしてください。

 

要因その1:社歴

社歴が長ければ長い程、地域に密着した経営をしていると判断することが出来ます。
社歴が短いと、多くの固定客を掴んでいない可能性はありますが、社長の事業意欲は高く、会社と共に自分も成長出来るという意義を見出せるかもしれません。
また、売上高や店舗数の推移も、きちんと判断出来る目を持っていれば、判断材料の一つとして有力な情報になります。

 

要因その2:立地

門前薬局であれば、比較的安定した経営を続けてきたと判断することが出来ますが、その調剤薬局の今後の運命は、メインに応需している病院やクリニックに大きく左右されるというリスクがあることも理解しておかなければなりません。
門前薬局以外で、多くの医療機関から応需している(面対応している)調剤薬局は、経営を軌道に乗せるまでは大変ですが、一度軌道に乗せてしまえば、比較的リスクの少ない経営が出来るとも考えられます。

 

要因その3:経営者の年齢・経営者になった経緯

経営者が高齢の場合には、後継者の有無や事業存続の意思等の問題に対処出来ているかどうかが、その調剤薬局の将来を左右する大きな要因となります。
また、過去に経営者の変更があった場合には、経営者の代替わりによって経営の方針や内容がどのように変わったのかということにも注意する必要があります。
経営者の代替わり以降、業績が悪化しているようであれば要注意です。

 

要因その4:経営者の志向や価値観(現状分析)

経営者の志向や価値観は、会社の方向性を決める大きな要因となり、特に、会社の規模が小さいほど、その影響の度合いは大きくなる傾向があります。
売上げや利益至上主義になり過ぎていないか?、立地に頼りすぎていないか?、調剤に偏重し過ぎていないか?、長期処方が多過ぎないか?、コンプライアンス(法令遵守)は徹底されているか?、スタッフの待遇はどのようになっているか?、無理に規模の拡大を図ろうとしていないか?、経営者のライフスタイルはどのようなものか?・・・・・etc

上記のようなことを検証することで、経営者の志向や価値観だけでなく、その調剤薬局がどのような経営を行っているかという現状分析も出来るようになります。
また、これらの要因は、働き易さや業務内容等、転職後の自分の生活にも大きく関係してくることになるので、気なる事があれば徹底的に検証するようにしてください。

 

要因その5:使命感と経営方針

どのような使命感や経営方針を持って事業に取り組んでいるのかは、その調剤薬局が、今後どのような事業戦略を取っていくのかに大きく影響してきます。
店舗の拡大を目指すのか?、地域の人々の健康を守ることを最重要視するのか?、立地を重視した経営を行うのか?、面対応を重視するのか?、フランチャイズ展開を目指すのか?、自社経営にこだわるのか?、今のやり方を続けるのか?、新たなことにチャレンジするのか?・・・・・etc

冒頭で述べたように、調剤薬局を取り巻く環境は大きな変化を遂げようとしており、今後は、旧態依然とした考え方やビジネスモデルは通用しなくなることが予測されています。
それはつまり、これからの調剤薬局の経営には、「出せば儲かる」「立地が最重要」「待ちの経営」といった従来のやり方から脱却することが求められているということです。

このような状況においては、「何の為に」「誰の為に」といった明確な使命感と経営方針を持ち、顧客のニーズに合った行動を取れるかどうかが重要になってくるでしょう。
経営者の言動や、会社が掲げている方針や理念といったものと、実際の行動が伴っているかを充分に見極めるようにしてください。

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要因その6:環境の変化への対応力(具体的な取り組み)

要因その5で、環境の変化に対応するには、明確な使命感と経営方針を持ち、顧客のニーズに合った行動が取れるかどうかが重要と言いましたが、では、その行動とはいったいどのようなものなのか?それを説明していきます。
まず大事なのは、環境の変化を察知する能力と、長期的な視点での経営戦略を持っているかどうかです。これからの調剤薬局の経営には、この2つが欠かせません。
例えば、現在の調剤薬局のビジネスモデルでは、立地が重要な成功要因とされていますが、門前の好立地の価格は、資金力のある大手企業によって異常なほど吊り上げられており、資金力に限りがある中小規模の事業者にはとても手が出せるものではなくなっています。

また、調剤報酬の削減等の法改正は今後も続くことが予測されており、それに伴って調剤薬局の収支構造も年々厳しさを増していくことが予測されています。
このような環境の変化が予測される場合には、現在のやり方を続けているだけでは、いずれ立ち行かなくなることは明白であり、ビジネスモデルの転換や、新たな収益を生む方策を立てる必要に迫られることになります。
これらの問題の解決策としては、在宅への取り組み、マイナンバー制度への対応、かかりつけ薬局化、点対応から面対応への変換、処方箋に頼り過ぎない経営等が現状では考えられ、先見の明を持った事業者は、既にそういった方向に動き出しています。

何れにしても、環境の変化に対応する柔軟性があるかどうかが非常に重要ということです。

 

要因その7:薬剤師の採用理由と状況

薬剤師を採用するのにはそれなりの理由があるものですが、その採用理由や状況から、その調剤薬局の現状や今後の方針をある程度把握することが出来ます。
例えば、急な欠員を補充することが採用の理由といった場合には、一定期間の猶予を持たなかったり、後任への引継ぎを行わずに前任の薬剤師が辞めてしまったということであり、その調剤薬局の経営や職場内に何らかの問題がある可能性があります。(勿論、やむを得ない事情で急に退職した場合もあります)

逆に、患者さんが増えたことによる人手不足の解消や、事業規模の拡大を目的とした新規採用ということであれば、その調剤薬局の経営は順調と考えられるでしょう。
こういったことは、調剤薬局の将来性や自分の今後を左右する上で非常に重要なポイントであるにも関わらず、意外と多くの人が見落としていたり、確認することを怠っています。

キャリアコンサルタントとの情報のやり取りや、面接時には面接の担当者に必ず確認するようにしてください。

要因その8:患者さんへの対応

患者さんに対してどのような対応や接客を行っているかは、その調剤薬局の将来をそのまま反映しているといっても過言ではありません。
現状では、多少接客態度や悪かったり、待ち時間が長かったりしても、病院やクリニックの門前薬局を仕方なく利用するのが当り前という風潮がありましたが、上記でも述べたように、今後は、立地頼みや、単に店舗を構えて患者さんを待つだけのビジネスモデルには限界が来ることが予測されています。
今後は、「マイナンバー制度の施行及び進行」「かかりつけ薬局化への患者さんの意識の高まり」「リフィル処方箋の普及」等によって、多くの患者さんは、自分にとって一番便利な場所であったり、利用するだけの価値を感じる調剤薬局を選ぶ可能性が高くなっていくと考えられているのです。

選択の主導権を患者さんが握るようになったことに気付いた後で、慌てて対応するのでは明らかに遅すぎます。
何故なら、一度固定した印象や認識といったものは、一朝一夕には変わらないからです。
医療=サービス業」という価値や常識の転換にいち早く気付いている事業者は、既に患者さんの満足度を高める為のあらゆる方策を打ち出し、大きな成果を上げています。
患者さんのニーズに応えようとしているか、不満を抱かせるような対応をしていないか、満足度を高める為の取り組みは実行されているか・・・、そういったことを、自分の目と耳とでしっかりと確認するようにしてください。

 

要因その9:スタッフへの対応

「企業は人なり」という言葉にもあるように、経営者や会社がスタッフに対してどのような対応を取っているのかは、その企業の将来に大きく関係してきます。
経営者や会社によるスタッフへの対応は、そのままスタッフの接客態度や仕事へ取り組む姿勢にも反映され、患者さんの減少にも繋がります。
スタッフが不満や不安を抱えていたり、教育や育成が追いついていない状況では、いくら売上げや規模の拡大を図ろうとしても決して上手くはいかないのです。

それに、スタッフの声が反映されていないような職場では、その労働環境がどのようなものなのかといったことも、安易に想像がつくと思います。
スタッフへの対応を知ることは難しいかもしれませんが、職場見学や面接等の機会を利用して、スタッフの表情や会話等のコミュニケーションの様子であったり、業務内容や仕事に取り組む姿勢といったことを注視するようにしてください。

また、面接時には、面接の担当者に、この調剤薬局で働くようになったきっかけ、就労期間、役職等の現在の状況、働き易さ、職場内の人間関係、用意されているキャリアパス、将来の展望・・・といったことを正直に聞いてみることも、経営者や会社によるスタッフへの対応だけでなく、その調剤薬局と自分の将来を知る手掛かりを手に入れる為の一つの方法です。

 

要因その10:ホームページ

「ネット上の情報は参考程度にしておくこと」の項目で、ホームページに記載されている内容がすべて“真実”とは限らないと言いましたが、ホームページの中にも、その調剤薬局の現状や将来を知る為のヒントが含まれていることがあります。
例えば、「当社の歩み」や「沿革」といった項目を見れば、過去の経緯や成長の度合いを測ることが出来ますし、「店舗数」や「売上高」といた項目を見れば、大まかな事業収支が分かるようになります。

また、自社の紹介だけでなく、患者さん向けのコンテンツが用意してあれば、しっかりと患者さんの方を向いた経営をしていると考えられますし、スタッフによるコラムやブログ等がある場合には、その内容から、経営方針や実際の取り組みであったり、働き易さや仕事へのやりがいといったことを知ることも出来ます。

ホームページは、お金を掛けて綺麗なものを作れば良いという訳ではありません。
見栄えだけ良くて中身が伴っていないホームページは、単なる自己満足に過ぎないのです。
ホームページで大事なのは、何を目的に、誰に向けて作られているのかということです。調剤薬局にとって一番大事である患者さんに向けて作られているかどうかをしっかりと見極めるようにしてください。

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調剤薬局の将来性も大事ですが・・・

最後までお読み頂き有難うございました。

上記の“今後、伸びていく薬局かどうかを見極める為の10要因”は参考になりましたでしょうか?
貴方の今後の転職活動において、少しでもお役に立てば幸いです。

ただ、当コラムの最後にもう一つだけお伝えしておきたいことがあります。

それは、転職活動時に調剤薬局の将来性を知ることは確かに大事なことですが、それよりも更に大事なことがあるということです。
どれだけ環境の変化に気付き、先を見据えた転職先選びが出来るようになったとしても、その調剤薬局に採用されなければ何の意味もありません。

今後起こり得る環境の変化を予測出来たのならば・・・

理想的な調剤薬局を見つけた時に採用してもらえる確率が高くなるよう、今のうちから自分の価値を高めることを怠らないようにしてください。
そうすれば、きっと薬剤師として理想的なライフスタイルを送れる日が訪れるはずです。

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