薬剤師がモンスター患者の対応で最も気を付けるべきこと

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薬剤師がモンスター患者の対応で最も気を付けるべきこと

モンスター患者(モンスターペイシェント)とは?

このコラムを読んでくれている薬剤師の方の中には、ブログやSNS等を利用してインターネット上に様々な情報を発信したり、友人や知人と交流しているという人もいるのではないでしょうか?

実は、私は仕事柄、情報収集の一環として、薬剤師や医師、看護師といった医療従事者の方々が書いているブログやfacebook等のSNSへの投稿であったり、コミュニティサイトや掲示板への書き込みを見たりすることが多々あります。

何故なら、そこには医療従事者の方々の日々の出来事だけでなく、仕事や職場に関する悩み、医療現場の実態や裏話、プライベートな事情や抱えている問題・・・等、直接の対話ではなかなか聞くことが出来ないような事柄や本音が赤裸々に書かれており、本当に多くの事を知ることが出来るからです。

それらのブログやSNS、コミュニティサイトや掲示板に書かれている内容を見ていると、医療従事者の方々の意識の高さに関心させられることと同時に、医療の現場で働くということが如何に過酷で大変なことなのかということも思い知らされます。

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近年、その一つの事例としてよく目に付くのが、所謂“モンスター患者(モンスターペイシェント)”に関する話題で、ネット上には、以下のような内容の投稿や書き込みが溢れています。

「今日はモンスター患者が来て最悪だった」
「モンスター患者への対応にウンザリした」
「何であんなクレームを付けるのか、まったく理解できない」
・・・etc

薬剤師としてある程度のキャリアがあるという人の中には、病院内や薬局内で大声で怒鳴り散らしたり、常識では考えられないようなクレームを突きつけてきたり、或いは、暴力を振るったり、設備や備品を壊したり・・・といった人を、一度くらいは見たことがあるという人もいるのではないでしょうか?

“モンスター患者”は当り前の存在に

・学校や教師に理不尽な要求を突きつけるモンスターペアレント
・販売やサービスの現場で無理難題や金銭を要求するモンスターカスタマー
・親や先生の言うことを聴かず暴力を振るうモンスターチルドレン
・・・・・etc

こういったモンスター○○○○の存在が大きな社会問題になっているとテレビのニュースで見た事はあるけど、実際には「今までモンスター患者なんて見たことがない」という人もいるかもしれません。

しかし、そういった人は、今までがラッキーだったと思っていた方が良いと思います。


医療従事者向けの情報サービスサイトを運営するケアネットが、会員の医師1,000人に行った調査によると、自己中心的で理不尽な要求を繰り返す悪質な患者、所謂モンスター患者に悩まされたことがあると回答した一般病院の医師は、70.7%にも上ることが明らかになっています。

つまり、全ての医療従事者にとって、モンスター患者への対応は何も特別なことではなく、日本全国どこでも当り前になっているのです。

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モンスター患者とはどのような人のことなのか?

上記、70.7%の医師がモンスター患者から受けた要求や言動の内容は以下の通りです。

①スタッフの対応が気に食わないとクレームを付ける(60.5%)
②自分を優先した診察他、待ち時間に関する要求・暴言を吐く(47.1%)
③不要な投薬・過剰な投薬を要求する(37.6%)
④治療法・薬剤を指定する等、自分の見立てを強行に主張する(33.7%)
⑤「空いている」等の理由で、時間外・夜間診療を繰り返す(31.9%)
⑥治療費・入院費を払わない(30.7%)
⑦診察をしないで投薬のみ要求する(28.8%)
⑧「訴える」「刺す」「暴力団を連れてくる」「マスコミに流す」等と脅迫する(27.6%)
⑨検査・診察・食事・内服等を拒否する(27.0%)
⑩入院を強要する(22.1%)
⑪事実と異なることを吹聴して回る(19.4%)
⑫退院を拒否する(17.4%)
⑬ご自身・スタッフに暴力を振るう(16.2%)
⑭土下座他、度を越した謝罪を要求する(11.3%)
⑮その他(5.2%)

医療従事者の中では、医師や看護師がモンスター患者の被害を受けることが多いと言われていますが、こうやってみると、①・②・③・④・⑥・⑦・⑧・⑨・⑬・⑭等、多くの項目が薬剤師にも起こり得ることがよく分ります。

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モンスター患者に対応する際に最も大事なこと

では、上記のようなモンスター患者には、どのように対応すれば良いのでしょうか?

モンスター患者へ対応する場合には、以下のような注意点がよく挙げられます。

・間違った意見に安易に同意しない(毅然とした態度で接する)
・例外を認めない(今回だけは・・・と言ってはいけない)
・話は聞いても信用しない(相手の話に引き込まれてはならない・下心や本心を探る)
・結論を出さない(即答しない・感情的にならない)
・相手の話をきちんと聞く(相手の話を遮らない)
・責任転嫁しない(言い訳しない)
・別室へ連れて行く
・対応するスタッフを変える
・複数で対応する
・医療従事者にしか分らないような専門用語を使わない


確かに、こういったことには注意すべきだと思いますが、モンスター患者に対応する際には、もっと大事なことがあります。

それは、相手を慮る気持ちと、相手の主張を受け入れる寛容さです。

患者さんには様々な人がいますが、それはモンスター患者と言われる人であっても同じことです。

スタッフに暴力を振るったり、設備や備品を故意に破壊したり、他の患者さんに多大な迷惑を掛けるようなモンスター患者であれば、毅然とした対応で診察を拒否したり、警察への通報が必要になることもあるかもしれません。

しかし、モンスター患者と言われるようになった人の中には、自分の主張や要求が正しいことだと思っている人も少なくないと思うのです。


どのような人間であっても、何らかの行動を起こす時には、それ相応の理由があります。

目の前で理不尽なクレームを言っている患者さんを、一方的に“モンスター患者”と決め付ける前に少し考えてみて下さい。

もしかすると・・・

・こちらの説明を理解していないだけなのかもしれません
・何か、誤解や勘違いしているだけかもしれません
・病院での診察や治療に納得していないのかもしれません
・病院で長時間待たされてイライラしているのかもしれません
・医師や看護師の態度に不満を持っていたのかもしれません
・初めて罹る病気で不安なのかもしれません
・以前の病院とは違う種類の薬なのかもしれません
・子供のことが心配なだけかもしれません
・初めての子育てで育児ノイローゼ気味なのかもしれません
・介護疲れかもしれません
・仕事が上手くいっていないのかもしれません
・医療費の支払いに不安があるのかもしれません
・・・・・・etc

人それぞれ、置かれている環境や抱えている事情も違いますし、考え方も違います。
モンスター患者になりたくてなった訳ではないかもしれません。

患者さんに対して必要以上に身構えたり、マニュアル通りの対応をしようと心掛ける前に、
「何故、この患者さんはこのようなことを言っているのか?」
ということに思いを馳せてあげて欲しいと思います。

ラベルを付けて、人をグルーピングすることは簡単です。
これは脳が本来持っている(効率を上げる為の)機能ですからしょうがない一面もあります。

しかし、医療従事者が闇雲にモンスター患者などのラベルを貼るようになってしまうと、それが医療制度、体制の崩壊につながりかねるのではないか?と危惧してしまうのは、私だけの杞憂でしょうか?

医療現場だけではなく、教育現場にも同様のことが起こっているように感じています。
言葉だけが先に一人歩きをしてしまい、良くない方向性に無意識に全員で歩き出さないように気を付けなくてはいけないと心から思っています。

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