薬剤師のキャリア形成を考える必要性が高まっている理由とは?

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薬剤師のキャリア形成を考える必要性が高まっている理由とは?

薬剤師のキャリア形成とは?

薬剤師の方に「薬剤師としてやりがいを感じるのはどんな時ですか?」かと聞くと、多くの薬剤師の方は、以下のように答えられます。

「患者さん本人や患者さんの親族から感謝の言葉を頂いたとき」
「患者さんの病状が回復しているのが分ったとき」
「患者さんの生命や健康に関わっているという責任を感じるとき」

しかし、その一方で、

「毎日同じ作業の繰り返しでやりがいが感じられない」
「もっとやりがいを感じられるような仕事がしたい」

と答えられる薬剤師の方も数多くおられます。
そして、そういった薬剤師の多くは、やりがいを手に入れるために、自分のスキルや価値を高める方法を模索しているようですが、具体的にどうすればいいのかが分らずに困っているという人も中にはいるようです。

今回のコラムでは、「自分のスキルや価値を高めたいが、その方法がよく分からない」という人の為に、その具体的な方法について述べていきたいと思います。

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これからの時代の薬剤師にとって、スキルアップは欠かせない

このコラムを読んで頂いている人の中には、「別に単純作業は苦にならない」「決められた時間に決められた仕事をするだけで決められた給料が貰えればそれでいい」「無理してスキルや価値を高めたいと思わない」という人もいるかもしれません。

確かに、現状ではそういった考えでも仕事に支障はないかもしれませんが、そう遠くない将来には、そういった考えが通用しなくなる可能性があります。

何故なら、薬剤師を取り巻く環境は、これから大きく変化することが予測されるからです。

・日本は超高齢化社会に向けて急速に突き進んでおり、社会保障費の増大が予測されていますが、国の財政が逼迫している今の状況で社会保障制度を維持するためには、医療制度の改革や法改正が急務とされている

・上記の制度改革や法改正によって、これからは、今まで以上に診療報酬や調剤報酬の改定の内容が厳しくなることが予想されており、それによって、薬剤師の職場である病院や調剤薬局の経営が厳しくなっていく

・病院や調剤薬局の経営が厳しくなっていくことで、病院や調剤薬局同士の競争が激化し、淘汰や統合が一層進行する

・4年生薬剤師よりも多くの知識やスキルを身につけた6年生薬剤師が、数多く薬剤師の就職や転職市場に輩出されてくるようになり、薬剤師間の競争が激しくなる

・高齢者が増えてくると、多くの人が病院ではなく、自宅や介護施設で療養し介護を受けることになるので、在宅医療への取り組みは必須となっていくことが予想される。
在宅医療分野への知識やスキルが乏しい薬剤師の就職や転職が厳しくなる
(ほとんどの6年生薬剤師は、実習で在宅医療の現場を経験しているので有利)

・その他、医薬品のネット販売の解禁による影響等、様々な変化が予想されます

上記のように、周囲の環境が大きく変化していく中では、自分だけ同じことを続けて同じ報酬や待遇を得ようとするのは、非常に難しくなるのが必然と考えるべきです。
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まずは、自分の特性や志向を知ること

いざ、自分のスキルや価値を高めようと思ったとしても、薬剤師が関わる領域は広く、すべての知識やスキルを習得するのは不可能です。
どのような知識やスキルを習得すべきか、事前にしっかりと決めることが重要になります。

まずは、自分としっかりと向き合い、自分の特性や志向をしっかりと判断しましょう。

・自分は何を重視する傾向にあるのか?
・どういった働き方やライフスタイルを送りたいのか?
・どのような人間関係を築きたいのか?
・モチベーションの源泉は何か?
・どういったことにやりがいを感じるのか?
・将来的にどうなっていたいのか?
・・・・etc

こういったことは、当然、職場選びにも大きく影響します。
薬剤師の主な職場には、病院、調剤薬局、ドラッグストア、製薬企業・・・等がありますが、自分の特性や志向に合わない職場で働き続けると、将来に亘って大きく後悔することになってしまいます。

自分を知り、自分に合った職場を知れば、自ずと身に付けるべき知識やスキルは絞られてくるはずです。

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一般的なスキルアップ方法

一般的に、薬剤師が自分のスキルや価値を高めようとする場合には、以下のような方法が考えられます。

・専門の書籍やインターネット上の情報から学ぶ
・薬剤師会や製薬企業が主催する勉強会に参加する
・民間企業主催のセミナーや講座を受講する
・インターネットを使ったe-ラーニング
・通学によるスクリーニング
・勤務先企業の社内勉強会

上記のようなスキルアップ法を行っている薬剤師は多いと思いますが、これらのスキルアップ方法では、医薬品に関する知識等、薬剤師として業務を行う際に最低限必要とされる知識だけしか習得することはできません。

しかし、実際に薬剤師として現場で働く際には、患者やその家族と接したり、職場の人間関係を良好に保つ為のコミュニケーション能力、職場内の在庫の管理や部下を指導教育する為のマネジメント能力等、医薬品に関する知識以外に多くの能力が求められることはお分かりだと思います。

薬剤師としてのキャリアを高めていきたいのならば、こういった考えを持っておく事は非常に重要なポイントになります。

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その他のスキルアップ方法

○ダブルワークでスキル+収入アップ

今の仕事を続けながら、平日の夜や土日の開いた時間に他の職場で働くことです。
プライベートを犠牲にする覚悟は必要になりますが、それに見合うだけのメリット(今の職場だけでは得られない知識やスキルを習得したり経験を積むこと+収入アップ)は十分にあります。

特に、知識やスキルの習得に関しては、机上で学ぶより遥かに早く身に付けることができるはずです。

実践するには体力と覚悟が要りますが、実践的なスキルを習得しながら収入も増やせるこの方法はお勧めです。

但し、働き過ぎには注意が必要です。無理をして身体を壊してしまっては意味がありません。自分の現在の環境を考慮して、無理なく続けられるようにしましょう。

また、ダブルワークを行う場合には、事前に、今の職場に確認することを忘れずに
中には、そういった働き方を禁止しているところもあります。
余計なトラブルを起こさないように注意してください。

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○病院薬剤師になる

今まで調剤薬局やドラッグストアでしか働いたことのないという薬剤師にとっては、少し敷居が高いと感じる人もいるかもしれませんが、病院薬剤師になるということは、薬剤師としてのキャリアを積む上で非常に有効です。

病院薬剤師の求人は、調剤薬局やドラッグストアに比べると少ないですが、実際に、調剤薬局やドラッグストアの薬剤師から病院薬剤師に転職したという人は結構います。

病院薬剤師になる最も大きな利点は、やはり、医学や専門分野の知識やスキルを高められる環境にあります。

病院薬剤師になれば、現場で知識やスキルを学ぶだけでなく、多くの研修や勉強会に参加することで得た最新の知識や専門的な知識や技術を、実際の臨床の現場で活かすことができるようになります。
このような職場環境は、病院薬剤師にしかありません。

調剤薬局やドラッグストアに比べると、夜勤が必要になったりと仕事はハードになりますが、チャレンジするだけの価値は十分にあります。
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○キャリアアップを目的とした転職

どれだけ大きな病院や調剤薬局やドラッグストアに勤めたとしても、どれだけ長く同じ職場に勤めたとしても、1つの職場で学べることには限りがあります。

実際に、1つの職場で長期間働いていた薬剤師が、他の職場に転職した途端、今までの知識やスキルがまったく使えなくて困ったという話はよく耳にします。

自分の職場では使わないような知識やスキルを学ぶ場合には、書籍やe-ラーニングを使って独学したり、各種の勉強会やセミナーに参加したりといった方法を取ればいいといった考えもあると思いますが、やはり、実際の現場で実践しながら学ぶことには敵いません。

そういった意味で考えると、今の職場では学べないような知識やスキルや経験を身に付けるために転職するのは非常に有効な方法と言えるでしょう。
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資格を取得して自分の価値を高める

薬剤師以外の資格を取得することで、今後のキャリアの可能性を大きくアップさせたり、より充実した仕事ができるようになります。


○管理薬剤師

管理薬剤師になるための特別な資格や試験がある訳ではなく、原則としては薬剤師の資格があれば誰でもなることができるのですが、調剤薬局等の店舗で働く人は経験しておいた方が良い仕事です。

管理薬剤師には、その名の通りの管理業務だけでなく、一般の薬剤師を指導できるだけの医薬品に関する知識や、薬事法や薬剤師法等の法律知識も必要とされます。

平均的な年収の相場は、500~800万円程度になります。

管理薬剤師の主な仕事

・管理業務
→薬局で働く従業員や、店舗で処方・保管している医薬品の管理業務全般

・医薬品が適正に使用されるための情報提供業務
→店舗で処方・販売する医薬品を、患者に適切に使用してもらうための情報提供

・その他業務(副作用情報の収集、報告等)
→副作用に関する情報を収集したり、それらを担当の医師や厚労省に報告する業務

上記3つが管理薬剤師の主な仕事内容ですが、分かりやすくいうと、店舗の店長みたいな存在です。当然、店長ですから、一般の薬剤師や従業員にはない責任がありますし、管理業務として、一般の薬剤師が行わないようなシフト管理や、人事や経理や事務手続き関連の業務も行う必要があります。


○認定薬剤師

認定薬剤師制度とは、医学・薬学の高度化や専門化に伴い、特定の医療分野等において、高度な知識や技量や経験を持つ薬剤師を認定する制度のことです。

薬剤師の生涯研修の一環として、日本薬剤師研修センターをはじめとする様々な団体、大学、薬剤師会等が薬剤師向けの各研修認定制度を実施しています。

当然、認定薬剤師の資格を取得すると、手当が支給され収入も増えることになります。

認定薬剤師の種類には、以下のようなものがあります。

・研修認定薬剤師
・認定実務実習指導薬剤師
・がん薬物療法認定薬剤師
・感染制御認定薬剤師
・精神科薬物療法認定薬剤師
・HIV感染症薬物療法認定薬剤師
・妊婦・授乳婦薬物療法認定薬剤師
・漢方薬・生薬認定薬剤師
・緩和薬物療法認定薬剤師
・プライマリ・ケア認定薬剤師
・認定指導者(認定指導薬剤師)
・在宅療養支援薬剤師
・スポーツファーマシスト
・救急認定薬剤師
・抗菌化学療法認定薬剤師

認定薬剤師の資格を取得するということは、常に最新の知識と専門性を持ち、時代に即した適切なメディカルケアを実践することができる薬剤師の証を持つということです。

このように、専門分野のプロフェッショナルとして業務に携われるということは、仕事に対するやりがいを非常に大きくしてくれます。
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○専門薬剤師

専門薬剤師とは、医療の専門領域や薬物治療に関する高度な知識や技能を有する薬剤師として、各領域の学会や協会から認定を受けた薬剤師のことです。

※認定薬剤師よりも高度な専門性を保有しているが専門薬剤師であり、専門薬剤師認定制度の多くは、同領域における認定薬剤師資格を有していることを申請条件としています。

専門薬剤師の種類には、以下のようなものがあります。

・がん専門薬剤師
・感染制御専門薬剤師
・精神科専門薬剤師
・妊婦・授乳婦専門薬剤師
・HIV感染症専門薬剤師
・認定専門指導者(専門薬剤師)
・栄養サポート(NST)専門薬剤師

専門薬剤師には、医療チームの一員として医師の負担を分散し、安全で安心できる薬物療法を提供するために、身につけた高度な知識や技能を活用することが求められます。

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より医療現場に近い場所で業務を行い、対応する患者や使用する薬品もハイリスクが伴うので、人の生命に関わる責任やプレッシャーは大きくなりますが、それだけやりがいがあるということでもあります。

まとめ

ここまで、薬剤師としてのスキルや価値を高める方法を挙げてきましたが、参考になるような部分はありましたでしょうか?

自分がどのような特性や志向を持っているかを認識し、どのようなキャリアを積んでいくか計画を立て、それを実行していく一助となれば幸いです。

ただ、スキルアップや自分の価値を高めることは確かに重要ですが、そのことだけに囚われ過ぎてしまうと、大事なものを見落としてしまうことにもなりかねません。

expert 10

薬剤師の仕事は、人の健康や生命に関わる重要な仕事です。
そういった重要な仕事に携わっていることに、誇りと責任を持つことだけは忘れないようにしてください。

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