年収アップ , 転職のポイント - 薬剤師求人キャリアコラム -
薬剤師が、とにかくお金を稼ぎたいなら 【前篇】
お金を稼ぐ方法
最近、テレビを見ていると、都市部から田舎へ移住する人が増加しているという話題やニュースだったり、田舎暮らしの素晴らしさや魅力を伝えようとする番組を目にする機会が増えてきたように思います。
また、地域の活性化を目的として、都市部からの移住を積極的に支援している地方自治体が全国各地で増えていたり、移住者を対象にしたサービスや事業を展開する民間企業も増えてきているという話もよく耳にするようになりました。
こういった話を聞く度に、私なんかは「なんで地方で働く薬剤師は増えないんだろう?」「もっと増えてもよさそうなのに・・・」と思ってしまいますが、都市部での薬剤師の需要が満たされつつある現在の状況においても、地方での薬剤師不足は深刻化するばかりで、当分の間は解消する見通しも立っていないようです。
このコラムを読んでいる貴方もご存知のように、地方勤務は、薬剤師が収入を増やす方法としてよく知られており、実際に薬剤師の求人情報を見てみると、都市部から地方へ転職するだけで数百万円の収入アップが見込めるような求人案件をいくらでも見つけることができるはずです。
しかし、そういった好条件にも関わらず、地方に勤務しようという薬剤師が増え、地方の薬剤師不足が解消される気配は一向に感じられません。
いったい、何故なのでしょうか?
今回のコラムは、「とにかくお金を稼ぎたい!」という薬剤師の方に向けた提案の一つとして、“薬剤師の地方勤務”を取り上げていきたいと思います。
地方勤務ということに抱いているイメージは人それぞれ違うと思いますが、何か特別な知識やスキルを身につけたり、人と比べて抜きん出た実績や経験が必要とされる訳でもなく、ただ転職するだけで数百万円もの収入アップが見込めるといった恵まれた環境にある職種は、薬剤師以外にそうそう見つけられるものではありません。
しかし、そんな状況にあっても、地方で働こうとする薬剤師はなかなか増えないのです。
・何故、地方で働こうとする薬剤師は少ないのか?
・多くの薬剤師が地方勤務に抱いているイメージと実態に違いはあるのか?
・地方勤務にはどのようなメリットとデメリットがあるのか?
・地方勤務する為に必要なことは何なのか?
このような疑問に対して、過去に地方に勤務した経験を持つ薬剤師や、現在も地方に勤務している薬剤師からの情報や体験を基にお答えしていきますので、とにかくお金を稼ぎたいという薬剤師の方や、地方勤務するかどうか迷っているという薬剤師の方は、是非、今後の参考にして頂ければと思います。
何故、地方で働こうとする薬剤師は少ないのか?
私は仕事柄、毎日、多くの薬剤師から転職に関する相談を受けていますので、転職を検討している薬剤師に次の職場に求める条件を聞くことも多いのですが、その答えとして「収入のアップ」を挙げる人はかなりの割合に上ります。
しかし、そういった方々に地方で働くことをお勧めしても、多くの場合、以下のような理由で断られてしまいます。
「確かに稼げるとは思うが・・・」
「田舎には住みたくない」
「親や祖父母の介護や子供の学校等の問題があるので無理」
「仕事が大変そう」
「よく知らない土地に住むのは不安」
「人間関係が煩わしそう」
「何かあった時のことを考えると、近くに知り合いがいないと不安」
「コンビニもないような田舎では、日常の生活にも困ってしまいそう」
「休日には、何もすることがなく退屈しそう」
「一度就職してしまうと、辞めるのが大変そう」
「研修や教育制度が整ってないと、今後のキャリアに支障が出てきそう」
「一度就職してしまうと、辞めるのが大変そう」
「地方勤務の経験を持つ知り合いがいないので、実態がよく分からない」
etc・・・・・
これらの理由から推測されることは、「そもそも田舎に住みたくない」「プライベートな事情で遠くに行くことは出来ない」という人を除けば、地方で働いたり生活したりすることに対して“漠然とした不安”や“ネガティブなイメージ”を抱いていることが地方勤務に踏み切れない要因になっていることが多いということです。
多くの薬剤師がこのような不安やネガティブイメージを持つようになった要因としては、採用側である地方の病院や薬局や企業の情報発信不足であったり、ネット上に溢れる無数の不確実な情報であったり、利益を偏重した転職支援会社(紹介会社)によるブラック薬局等の被害者の増加といったことが考えられますが、実は、薬剤師側の情報の取捨選択能力の未熟さや、情報収集の量そのものが不足しているといったことが、地方勤務への不安やネガティブイメージを生み出す要因になっている場合も少なくありません。 (とは言え、これだけ正しい情報が少ない中、取捨選択能力の未熟さを責めるのはお門違いだということも分かっています。)
多くの薬剤師が地方勤務に抱いているイメージと実態に違いはあるのか?
多くの薬剤師が地方勤務に抱いているイメージには、ポジティブなイメージとネガティブなイメージの両方があると思いますが、ここでは、地方勤務の不安要素となるネガティブなイメージと、地域勤務の実態について説明していきます。
■「仕事が大変そう」
これは、職場によるとしか言い様がありません。
ネット上に、「実際に働き出すと自分以外に薬剤師がいなくて激務だった」とか「地方だから患者さんは少ないだろうと思っていたが、病院や薬局の数も少ないので、毎日多くの患者さんの対応に追われた」といった話が書かれていれば、地方勤務に対する不安やネガティブなイメージを抱くのも仕方ないことだと思います。
しかし、このような職場は地方に限ったことではありません。また、上記のような失敗は、しっかりと事前の情報収集を行い、雇用契約書を交わすことで十分回避できます。
それに、地方には働き易い職場もたくさんあります。
地方は病院や薬局の数が少なく患者さんが集中するというのは事実ですが、地方にはのんびりした人が多く、しかも、ほとんどの患者さんが顔見知りなので、しっかりとコミュニケーションを取りながらあまり時間に急かされることなく仕事ができます。
また、同じ職場で働く人達とも、都会のようにドライではなく密な関係になることが多いので、連携が取り易く無理な負担を強いられたりすることもあまりないようです。
■「人間関係が煩わしそう」「近くに知り合いがいないと不安」「日常生活が大変そう」
都市部で働く人は、仕事とプライベートをきっちりと分けたり、ご近所とは挨拶程度という人も多いと思いますが、地方でもそういう生活スタイルを貫くのはなかなか現実的ではないかもしれません。
地方は人口も少ないですし、行く場所も限られてしまうので、様々な場所で職場の同僚や患者さん等の顔見知りに出会うことが必然的に多くなってしまいます。
また、地方には、「仕事とプライベートは別」といった考え方を持っている人がほとんどいないので、悪気なく自分の領域に入り込んでくる人も数多くいます。(このあたりは古きよき昭和の人付き合いをイメージしてもらえれば、分かり易いと思います。)
しかし、こういった人間関係が苦にならない人や、自分からも積極的にコミュニケーションを取っていくタイプの人にとっては、地方は非常に暮らし易い場所になると思います。
因みに、地方で働く私の知り合いの薬剤師は、ご近所の方々から野菜や惣菜の差仕入れを貰ったり、食事をご馳走になることも多いらしく、食費がかなり節約できているそうです。
また、何か困ったことや分からないことがあっても、すぐに誰かが助けてくれるので助かっているとも言っていました。「遠くの親戚より近くの他人」ということなのでしょう。
但し、地方で生活する場合には、車の免許が必須になることも多いです。
公共の交通機関があまり整っていない地域では、車の運転ができないと日常の買い物にも困るようになってしまいます。
■「休日には、何もすることがなく退屈しそう」
都市部と比べると、地方は、休日や仕事終わりに遊んだりできるような場所が格段に少ないので、毎日が家と職場の往復ばかりといった生活になってしまうかもしれません。
しかし、勤務地や趣味によっては、非常に充実した生活を送ることも可能になります。
例えば、海の近くや離島に勤務する場合、休日だけでなく、出勤前や仕事終わりにサーフィンやダイビング等のマリンスポーツや釣りをすることが出来ます。
山間部に勤務する場合は、登山やキャンプを楽しむことが出来ます。
温泉地に勤務する場合には、仕事で疲れた身体を温泉でゆっくり癒すことも出来るのです。
また、何もすることがないといった人でも、空いた時間を使って将来に向けた勉強をすることが出来ますし、何よりも、多くのお金を貯めることが出来るようになります。
また、今流行のスローライフを実現することも出来るようになるのではでしょうか。
■「一度就職してしまうと、辞めるのが大変そう」
これも、地方に限らず日本全国どこの職場でも起きる可能性がある問題です。
「後任が決まらないから辞めさせてくれない」という話を耳にすることもありますが、正式な手続きを経てさえいれば、どのような職場でも辞める事はできます。
後のトラブルを回避する為に大事なのは、事前の情報収集しっかりと行うこと、面接時に確認を取ること、採用時には雇用契約書をきちんと交わすことです。
それでも不安が拭えないという人には、派遣社員として働くという手もあります。
派遣社員であれば、勤務先の企業ではなく派遣会社と雇用契約を結ぶことになるので、一定の期間が来れば自動的に契約は終了になり、辞めるのが難しいということはまずありません。
もし、契約満了後も働き続けたいという意向がある場合には、勤務先の企業の了承があれば延長ができることもありますし、予め「紹介予定派遣」という形態を取っていれば、正社員になることも可能です。
因みに、派遣の場合の時給の相場は4000円~と、かなり割高になっています。
(※派遣社員の場合には、即戦力としての役割が求められるので、薬剤師としてのキャリアや経験が少ない人には難しいかもしれません。事前の相談と確認が必要かもしれません。)
■「研修や教育制度が整ってないと、今後のキャリアに支障が出てきそう」
確かに、都市部の職場に比べると、地方の職場は研修や教育制度が整っていないことが多いですし、地方都市で開催される夜間や週末の研修に参加することも難しいと思います。
しかし、こういった問題に対する薬剤師の声は地方にも届いており、改善に努めている職場も増えてきているようです。
また、今の時代は、インターネットを使うことで必要な知識やスキルを習得できる環境も数多く用意されてきています。
地方勤務にはどのようなメリットとデメリットがあるのか?
地方に勤務すると、都市部での勤務ではなかなか得られないようなメリットを享受することが出来るようになります。
■お金が稼げる
地方勤務することの一番のメリットは、やはりお金が稼げることではないでしょうか。
都市部の調剤薬局の管理薬剤師の年収は500~600万円が相場ですが、地方に勤務すると新卒の薬剤師でも600万円位は当り前のようにありますし、ある程度の経験がある薬剤師なら700~800万円、中には900万円以上の求人案件もあるようです。
(※田舎に行けば行くほど、高くなる傾向があります)
また、地方勤務する薬剤師には、多くの職場で住宅の補助が用意されていますし、都市部に比べて物価も低いですから、実質的には、年収+100万円以上はある計算になります。
しかも、引越し費用まで負担してくれる職場も多いようです。
但し、大手チェーンの調剤薬局等では、上記のような高収入を得る事は期待できないことが多いので注意する必要があります。
■やりがいを感じられる
薬剤師という仕事に「やりがい」を求める人も多いですが、地方の職場は、都市部の職場に比べて「やりがい」を感じられることも多いと思います。
地方の職場ではほとんどの患者さんと顔見知りになれますし、患者さんとしっかりコミュニケーションを取ることも多いので、患者さんの回復具合を確認したり、日頃の様子を観察したりと、自分の仕事が患者さんの役に立っていることを感じられると思います。
それに、地方では、同じ職場や同じ地域の医療従事者との交流や連携を取る機会も多いので、チーム医療の一員として地域医療に貢献しているという実感も持てるようになります。
また、地方では薬剤師が不足しているという現状から、年齢に関わらず、管理薬剤師等の責任あるポジションを任されることがあります。
管理する立場よりも、患者さんとの関わりを重視したいという薬剤師の方もいるかもしれませんが、こういった経験を積んでおくことは、後々のキャリアにも役立つはずです。
■採用率が高い
薬剤師業界では、これまで「売り手市場」と言われてきましたが、そういった状況も少しずつ変わってきています。
特に都市部では、薬剤師の需要は満たされつつあり、人気が高い職場への就職競争は激しくなる一方で、せっかく自分が希望する条件を満たすような良い職場を見つけたとしても、そこに就職できる可能性は低くなってしまいます。
しかし、これまでも述べてきたように、地方ではまだまだ薬剤師が不足している状況の為、都市部では競争率が高いようなレベルの職場であっても、採用される可能性は高くなります。
■地方勤務のデメリット
正直なところ、地方で働くことにあまりデメリットは見当たりません。
敢えて挙げるとしたら以下のような項目が考えられますが、それも地方で働くことにどれだけの覚悟が持てるのかであったり、その人の考え方次第だと思います。
・地元から離れることで、身内や友人となかなか会えなくなる
・都市部とは違った人間関係や近所付き合い
・ルーティン業務や、一つのことをコツコツとやり続けることが好きな人には合わない
・仕事の後や休日にやることがない(勤務地や、個人の趣味や志向による)
・研修会、講演会、セミナー等に参加することが難しい
・引越し作業等が大変
地方勤務する為に必要なことは何なのか?
ここまで、地方勤務の実態やメリットについて述べてきたように、地方で働くことには、大きな魅力や様々なメリットがあるのは確かです。
しかし、いくら収入を増やしたいからといって、どのような人でも地方で働きさえすれば上手くいくという訳ではありません。
地方に住んで働く場合には、やはり、それなりの覚悟や目的意識が必要になります。
住み慣れた土地を離れれば、身内や仲の良い友人達ともなかなか会えなってしまいますし、人によっては単身赴任を覚悟する必要があるかもしれません。
「何の為にお金を稼ぐのか」「地方で働くことで何を得たいのか」、そういった目的をしっかりと持っていないと、慣れない環境であったり、職場に対する些細な不満にすぐに嫌気が差してしまうことになります。
別に、高尚な目的を持たなければならないという訳ではありません。
どのような目的でも良いと思います。
何の為にお金が必要なのか、お金を貯めて何を手に入れたいのか、いくら貯金したいのか、どのような環境を手に入れたいのか、どのようなライフスタイルを送りたいのか・・・etcよく考えることが大事なのです。
私が知っている地方勤務の薬剤師の方々も、その目的は多種多様です。
・「昔から田舎暮らしを実現したいと思っていた」
・「自然豊かな環境で子育てしたかった」
・「家族が病気になってお金が必要になった」
・「子供の学費や入学金が必要になった」
という人もいれば、
・「憧れの高級車を一括払いで買いたかった」
・「もっとブランド物を手に入れたかった」
という人もいますし、
・「患者さんとしっかり向き合う環境で仕事がしたかった」
・「地域貢献したかった」
・「将来、独立して調剤薬局を開業したいので、その為の資金と経験を得たかった」
という人もいます。
因みに、これらの人達の多くは、既に目標や目的を達成しています。
中には、短期での勤務を予定にしていたにも関わらず、地方の環境が気に入ってしまい、目標達成後もそのまま住み続けているという人もいます。
まとめと補足
最後までお読み頂き、ありがとうございました。
地方勤務の実態について、少しはご理解頂けましたか?
地方勤務の実態を知り、地方勤務への不安やイメージに変化はありましたでしょうか?
先ほども述べましたように、薬剤師を取り巻く環境は大きく変化しようとしています。
都市部での薬剤師不足は解消の方向に進み、これまで続いてきた「売り手市場」は刻一刻と終焉を向かえつつあります。
また、高齢化の進行に伴う社会保障費の増加による医療費の削減や制度改正、在宅医療への取り組みの推進、薬剤師の専門職化、調剤薬局やドラッグストアの競争の激化・・・等、これまでの常識がこれから先も通用するという保障もどこにもないのです。
もしかすると、近い将来、地方での薬剤師不足が解消され、薬剤師間での就職競争が激化するという時代が訪れるかもしれません。
そうなれば、当然、現在のような高額での求人はなくなってしまうでしょう。
あくまで可能性の話ではありますが、仮に、そのような状況になってから動き出したのでは遅いということはお分かりになると思います。一度、よく考えてみてください。
※地方勤務を本気で検討している方へ
地方勤務への転職活動を行う際には気をつけるべき注意点があります。
詳細は、
「薬剤師が地方に転職する際の7つの注意点」をご確認ください。
本コラムのその②もコラムとしてアップしました。合わせてお読みください。
「薬剤師が、とにかくお金を稼ぎたいなら 【後篇】」
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