キャリア , 転職のポイント - 薬剤師求人キャリアコラム -
薬剤師が転職活動を行う前に知っておくべき3つのこと
薬剤師の転職について
「本当に自分に合った良い職場が見つかるだろうか・・・」
「初めての転職活動で失敗しない為には、どうすればいいのか・・・」
薬剤師業界は売り手市場と言われることも多いですが、経験の浅い薬剤師は勿論、経験豊富な薬剤師であっても、初めて転職する際には様々な不安を抱えているものです。
今回のコラムでは、初めての転職に対する不安を払拭し、自分に合った理想の職場を見つけ出す方法をお伝えしていきたいと思います。
薬剤師業界は売り手市場だが・・・
薬剤師の転職事情を少しでも調べた事がある方ならお分かりかもしれませんが、薬剤師の転職業界は非常に活況と言われています。
薬剤師の転職業界が売り手市場と言われるのにはいくつもの要因がありますが、一つは、6年制への切り替えによって、新卒の薬剤師が2年間輩出されないという「空白の2年間」が発生したことです。
しかも、2012年に初めて排出された新卒薬剤師の多くは大病院や製薬企業に流れたとされており、それによって新卒の薬剤師を予定通りに採用出来ず、中途採用に切り替えてなんとか薬剤師の数を確保しようとする調剤薬局やドラッグストアや一部病院が増えました。
また、現在も、全国的に調剤薬局やドラッグストアの新規出店の増加傾向は続いるようですし、調剤薬局併設型のドラッグストアが増えていることも、薬剤師の争奪戦が起きている要因の一つとなっています。
このような売り手市場という状況は、転職を考えている薬剤師側にとっては、
「転職先の数が豊富なので、多くの選択肢の中から選べる」
「なんとか薬剤師を確保しようと競争することによって、好条件の転職先が増える」
というように、一見すると、良い材料ばかりのように思えます。
しかし、薬剤師の転職業界が活況なのは、「薬剤師不足」「売り手市場」という単純な要因だけではありません。
安易に、「売り手市場だから、薬剤師側にとって有利な転職活動が出来る」といった考えでいると、後になって後悔することにもなるかもしれないのです。
薬剤師は転職で失敗する人が多い!?
薬剤師専門の調査会社「ネグジット総研」が2010年に実施した調査によると、調査対象となった薬剤師の72.4%が「転職経験がある」と答えています。
しかも、その内の66.6%もの薬剤師が、「2回以上の転職経験がある」と答えているのです。
確かに、
「売り手市場なんだから、良い条件を求めて転職するのは当り前」
「転職によってキャリアアップを図るのは普通のこと」
といった考えを持っている人もいるでしょうし、その考え方を否定する気もありません。
しかし、実際に転職を経験している薬剤師が答える転職理由は、上記のように、良い条件やキャリアアップを求めたり、仕事にやりがいを求めるといった前向きな理由は少数派で、
「職場の雰囲気や人間関係の悪化」
「事前の説明と実際の業務内容や条件とのギャップ」
「経営者や管理者のモラルの低さや会社の将来性への不安」
・・・etc
といったマイナスな理由の方が圧倒的に多いのが実状なのです。
不安の正体を知る
初めての転職に対する不安といっても、その中身は人それぞれ違います。
「今の自分の知識やスキルや経験で大丈夫だろうか・・・」
「転職先にはどんな人がいるのだろう・・・」
「転職先が自分に合わなかったらどうしよう・・・」
「収入を減らしたくないけど、本当に大丈夫なのだろうか・・・」
「休みはきちんと取れるのだろうか・・・」
「転職先がブラックだったらどうしよう・・・」
「正社員からパートに変更したら、待遇や扱いに差があるのでは・・・」
・・・・etc
転職を考えている薬剤師の多くは、こういった不安を出来るだけ払拭しようと、同僚や友人や知人に相談したり、ネットで情報を収集したり、時には、薬剤師転職支援を専門にしているコンサルタント等に相談しているようです。
しかし、自分の心の中に抱えている不安を払拭するには、自分以外の誰かの助言を聞くのも良いですが、もっと大事なのは、自分自身をしっかりと分析することです。
他人の意見には、その人なりの考え方や価値観が内包されていることが多々あります。
後になって「自分で決めておけばよかった」「あんな事さえ言われなければ・・・」
といった事にならないためには、しっかりと自分自身と向き合う機会を作り、不安の正体を炙り出しておくという作業を必ず実施する必要があるのです。
転職活動前に明らかにすべき3つのこと
1.なぜ転職したいと思っているのかを明らかにする
「上司と反りが合わない、人間関係が上手くいかない」・・・ではなく、上司のどのような言動や考え方が自分と合わないと感じているのか、どのような職場環境や状況が人間関係を悪化させているのか。
「給料が低い、勤務時間が長い、休みが取れない」・・・ではなく、具体的に給料が○○円では△△する為にいくら足りないのか、なぜ長時間勤務させられているのか、なぜ休みが取らせてもらえないのか。
というように、出来るだけ具体的で詳細に転職理由を理解することが重要です。
転職する理由をしっかりと理解していないと、退職や転職に対する決意が簡単に揺らいだり、転職先に求める環境や条件といったものを明確にすることは出来ません。
2.転職する目的は何なのか(何を得る、変える必要があるのか)を明らかにする
転職する理由が明らかになったら、次は、自分にとって理想的な状態とはどのようなものか、それを実現する為にはどうすればいいのか、何が必要なのか、といった事を明らかにする必要があります。
これらの事を明らかにしておくと、転職活動時に、目先の情報や好条件に釣られて、後になって後悔する確率を下げることが出来るようになります。
これも上記の「転職する理由」と同様に、具体的に明確にすることが大事です。
以下の事例を参考にしてください。
「少ない薬剤師でシフトを組んで、何とかやりくりしているような利益重視の調剤薬局では、人間関係が悪化した場合でも、狭く閉鎖された環境の中から逃げ出すことが出来ず、更に悪化を助長させてしまう恐れがあるので、薬剤師の働き易さを優先し、余裕を持って薬剤師を採用している大手の調剤薬局に転職したい」
「子供が公立ではなく私立の学校を受験したいと言い出した。今の職場は人間関係も良く働き易いが、子供の為には仕方がない。今の収入より最低でも50万円は多く稼げるような職場に転職したい」
「祖母の介護が必要になったので、母が毎日のように実家に通うようになった。私もできる限り母の負担を減らしてあげたいので、現在の正社員という働き方をパート勤務に変え、職場ももっと家に近い所に変えたいと思っている。但し、いずれは正社員として復帰したいので、そういったことも考慮して転職先を決めたい」
3.自分の価値観や優先順位を明らかにする
転職する理由は明らかにしたし、転職の目的(手に入れたいもの)も明らかになった。
このコラムを読んで下さっている貴方が、どのような理由で、何を手に入れる為に転職を考えているのかは分かりませんが、いくら薬剤師不足で売り手市場といっても、貴方の理想を100%叶えるような職場が存在するとは限りません。
仮に、そのような職場があったとしても、それだけ良い職場であれば、既にそこで働いている薬剤師が辞めたとしても、新たな薬剤師の採用に苦労することも少ないはずです。
何故なら、そのような職場なら、わざわざ経費を掛けて公に募集しなくても、誰かの紹介等によってすぐに採用枠が埋まる事が多いからです。
現実的な話になりますが、転職活動において大事なのは、「そこしかない」「最良を見つけ出す」ことではなく、「充分に満足できる」「最適を手に入れる」ことです。
これを忘れないようにしてください。
自分にとって最適な職場とはどのような職場なのかを理解する為には、まず「自分が大事にしているものは何か」「これだけは譲れないというものは何か」といった、自分の価値観を明確にしておく必要があります。
そして、「絶対にこれだけは譲れないもの」「その次に大事なもの」「多少は妥協出来るもの」といったように、優先順位を付けておくことも重要なポイントです。
このように、自分の価値観を明らかにして、それらの優先順位もしっかりと決めておくと、無数の転職先案件の中から、自分にとって最も適した転職先を見つけ出そうとする際に、余計な情報や外部の声に惑わされる事も少なくなります。
そうなれば、当然、転職してしまった後で後悔するといったことになる可能性も低くなるはずです。
如何でしたか?上記した3つのポイントはご理解頂けましたでしょうか?
勿論、この3つのポイントを理解したからといって、それだけで転職活動が上手くいく訳ではありません。
円満に退職する方法、信頼出来る情報を収集する方法、自分に合ったアドバイザーやコンサルタントの見つけ方と活用方法、面接や条件交渉や契約の方法・・・etc
転職を成功させるには、様々な知識やスキルが必要となります。
しかし、どれだけ有益な情報や知識やスキルを手に入れたとしても、どれだけ優秀なアドバイザーやコンサルタントを味方に付けたとしても、基本的な考え方をしっかりと身に付けていなければ、それらがほとんど役に立つことはないでしょう。
何よりも、しっかりと自分自身を理解し、ブレない軸を作り出す事が重要だということを忘れないでください。
同じカテゴリに属する他のコラム - キャリア -
- 異業種参入で薬剤師の将来はどう変わる?【後篇】
- 異業種参入で薬剤師の将来はどう変わる?【前篇】
- 薬剤師のキャリアアップ、失敗しない独立開業は? 【後篇】
- 薬剤師のキャリアアップ、失敗しない独立開業は? 【前篇】
- 女性の薬剤師が結婚すると、何が変わるのか?