薬剤師の転職を繰り返す方法はいつまで通用するのか?

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薬剤師の転職を繰り返す方法はいつまで通用するのか?

転職の回数

薬剤師の転職市場は、薬剤師側が有利とされる売り手市場が続いていることもあり、より高い収入や、より良い労働条件を求めて転職活動を行っている薬剤師も多いようですが、そんな薬剤師にとって一つの不安要素となっているのが転職の回数です。

「転職を繰り返すことで確かに収入は増えたけど・・、こんなやり方を続けて大丈夫?」
「転職の回数が多くなることのデメリットにはどのようなものがある?」
「転職の回数が多い薬剤師でも、良い職場に転職できる方法を知りたい」

今回のコラムでは、これらの、転職の回数が多いことで生ずる不安やデメリット、また、そういった問題への対処法について述べていきたいと思います。

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既に複数の転職を経験している人や、転職を繰り返すことに不安を感じている人は、是非、参考になさって下さい。

薬剤師の転職回数の実態

医療従事者の転職実態を調査している調査会社が2010年4月に公表したアンケートデータによると、薬剤師の転職回数は以下のようになっています。

0回   →  18%
1回   →  23%
2回   →  33%
3回   →  16%
4回以上 →  10%

転職をする回数は年齢や環境によって変わってきますし、転職する理由も人によって様々なので一概には言えませんが、データを見る限りでは、82%の薬剤師が転職経験があり、2回以上の転職を経験している薬剤師が59%もいることからすると、やはり、薬剤師は転職する回数が多い傾向にあると判断できそうです。

ただ、一般的には、転職回数が多いというのは、転職の際にマイナス要因になると考えてしまうものですが、上記のデータも見方によっては、複数回の転職を経験していたとしても、新たな職場に就職出来るということを証明しているとも捉えられますから、薬剤師にとって転職回数の多さはそれほど不利な要因にはならないと判断することもできそうです。


転職回数の多さが不安要素となる理由

上記の、薬剤師の転職回数データから導き出した答えは、「薬剤師は転職する回数が多い傾向にあるが、転職回数の多さは転職活動においてそれほど不利な要因にはならない」というものでした。

では、何故、転職を経験している薬剤師の多くが、転職の回数が増えることに対して不安やデメリットを感じているのでしょうか?

その答えとしては、薬剤師の個人的な事情や環境の変化など様々な要因がありますが、中でも最も大きな要因として考えられるのは、薬剤師を採用する側である病院や調剤薬局や企業の経営状況が年々厳しくなっているということです。

そして、実際に転職活動を行っている薬剤師は、情報の収集時や面接時にそういった変わりつつある状況を肌で敏感に感じ取ることによって、漠然とした不安を抱えるようになったのだと思います。

実は、少し前までは、病院や調剤薬局の経営といえば、比較的容易に安定して収益を上げられる事業でした。

薬剤師の採用コストが少々高くても、それを賄うだけの収益を安定して上げられていましたし、実際、数年毎に転職を繰り返すことによって収入を増やし続けてきたという薬剤師も数多くいたようです。

しかし、そういった状況は、近年大きく変わりつつあります。

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薬剤師の主な職場である、病院や調剤薬局の経営が厳しくなってきている原因

ご存知のように、日本は急速に超高齢化社会に向かっており、それに伴って医療費をはじめとする社会保障費も増大し続けていますが、国の財政が逼迫している今の状況において社会保障制度を維持するためには、様々な制度改革が急務とされています。

財政健全化の目標を達成するための一つの方策として、今年の4月には消費税が増税され、今後も更なる増税が見込まれていますし、保険や介護についても国民負担の増加や給付制限が避けられない見通しになっています。

その流れは当然医療の現場にも及ぶことになり、年々、診療報酬の改定や調剤報酬の改定等の内容も、多くの病院や調剤薬局にとって厳しいものになっています。
その他にも、医薬分業の進展、病院や調剤薬局同士の競争の激化、医薬品のネット販売解禁・・・etc、様々な要因が病院や調剤薬局の経営を圧迫しています。

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○薬剤師の採用コストが経営に与える影響

コラムの冒頭でも書いたように、今は、薬剤師の転職市場は売り手市場と言われています。
売り手市場ということは、それだけ薬剤師の採用に苦労している病院や調剤薬局や企業が多いということです。

それでも薬剤師を確保する必要がある病院や調剤薬局や企業は、ライバルよりも高い報酬や好条件を提示することで何とか薬剤師を集めようとしますが、それは、当然経営を大きく圧迫することに繋がります。

しかし、それだけお金や時間や労力というコストを掛けたからといって、その薬剤師がいつまで働いてくれるかは分かりません。
せっかく採用しても、すぐに辞められてしまった場合、また一から大きなコストを掛けて新たな薬剤師を募集しなければならないのです。

現在、この経営に大きな影響を与えるような薬剤師の採用方法を、見直したり変えようとする病院や調剤薬局や企業が増えています。

具体的には、何回も採用コストを掛ける無駄を省くため、これまでのように経験や知識ばかりに拘るのではなく、多少の能力差であれば、長期間働いてくれるかどうかいうことを重視して採用の可否を決める病院や調剤薬局や企業が増えているのです。

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転職を繰り返すのは悪いことなのか

上記の説明で、現在及びこれからの薬剤師の転職事情の傾向がお分かり頂けたと思います。

では、これまでに複数回の転職を経験している人は、現在の状況や、これから先の転職市場の傾向について、どのように考え捉えていくべきなのでしょうか。

これまで、転職によって収入を増やしたり、何らかの好条件を獲得することを目的として転職を行ってきた薬剤師の多くは、達成の度合いに差があったとしても、ある程度の目的を達成することが出来たと思います。
(※あくまでも、収入や好条件の獲得を目的とした場合です。実際に転職してから起こる人間関係や業務内容等についての問題は除きます)

中には、転職を繰り返すことで、大きく収入を増やしたり、かなりの好条件を獲得したという人もいるでしょう。

私は、転職を繰り返すことが悪いことだとはまったく思っていません。
実際、転職を繰り返すことは、収入を増やしたり好条件を獲得するのに非常に有効な方法だと思っています。

しかし、上記で説明したように、薬剤師を取り巻く環境は大きく変化し始め、これまで通用していた方法論が、これからはどんどん通用しなくなっていくことが予想されます。

このコラムの『薬剤師の転職回数の実態』の項目で、「データでは、複数回の転職を経験していたとしても、新たな職場に就職出来るということを証明している」と述べましたが、データというものはあくまでも過去の分析結果であり、これから先の未来を保証する性質のものではありません。
当然、薬剤師の転職市場の傾向においても、通用するものではないと思っています。

大事なのは、現状を知り、先の傾向を見極めながら、これから先の薬剤師としてのキャリアをしっかりと計画していくということです。

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転職回数が多い薬剤師が取るべき方法

では、転職回数が多い薬剤師は、これからの転職市場でどのようにすれば成功を掴み取ることができるのでしょうか。

まず、ここまで述べてきたように、(特別な事情を除き)転職を繰り返すことで収入を増やし続けようとしたり、より良い条件を獲得しようといったやり方は長続きしないという認識を持つことが必要です。

1回や2回なら大丈夫かもしれませんが、同じことを何回も繰り返していると、採用側に「どうせ採用しても、すぐに辞められる」と思われてしまい、だんだん転職が困難になっていくことになります。

しっかりと現状を認識し、将来の傾向を見極め、自分にとって何が重要で何が重要でないのかを把握し、自分の薬剤師としてのキャリア計画を立て、自分が求めている条件を満たす職場を見つけ出し、そこに転職することをゴールとして設定することが大事です。

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○薬剤師間の競争が激しくなる

現在が、薬剤師にとって有利な売り手市場であることはこれまでも述べてきましたが、こういった状況がいつまでも続くとは限りません。

2015年には、就職して3年が経過した6年生薬剤師の転職組も増え、薬剤師間の競争が激化することが予想されています。

また、増え続ける社会保障費を削減する為の改正や改定、その影響による病院や調剤薬局の経営状況、病院や薬局やドラッグストア同士の競争の激化・・・等、薬剤師の転職市場に大きな影響を与える環境が大きく変化していくことも予想されています。

それに、環境の変化に伴って薬剤師が求められる役割も変わってくることが予想されるので、より濃い内容の知識やスキルや経験が求められるようになるとも言われています。

そうなってくると、当然、出来る仕事の内容は変わらないのに、収入や好条件ばかりを求め続けていくのには無理があるということはお分かりになると思います。


○転職回数が多くても求められる薬剤師とは

実際の転職活動の現場では、やはり、転職回数が多いとすぐに辞めると判断されてしまうので、一つの職場で長く勤めた人の方が有利なのは事実ですが、転職回数が多くても、多くの病院や企業から求められる薬剤師は存在します。

そういった人は、以下のような特徴が挙げられます。

・資格や経験等、普通の薬剤師にはない高いスキルや幅広い知識を持っている
→他の薬剤師と差別化できるだけのスキルや知識や資格を持つ事は、やはり有利です

・知識やスキルを積むために、あえて転職を繰り返している
→しっかりと自分のキャリア計画を立て、しかも、それを人に説明できることが重要です

・転職に至った理由や背景が前向きなものであり、それをしっかりと説明できる
→退職理由や転職した目的が、ネガティブでなく前向きであれば評価は違ってきます

・すべての職場を短期間で辞めたのではなく、職場によって長く勤務している所もある
→すぐに辞める人という認識を持たれないようにすることが重要です


当り前の事ですが、採用するかどうかを判断する場合には、転職回数だけを基準にする訳ではありません。

どのような知識やスキルや経験を持ち、どのようなキャリア計画を持っていて、何故転職回数が多いのか、それを納得させるだけの理由をしっかり説明できることが重要です。

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転職回数が多い人の強力な武器

転職回数が多い人が持つことができる武器は、以下の2つがあります。


○他の薬剤師にはない経験という武器

転職回数が多いということは、それだけ多くの職場で働いた経験があるということであり、それは一つの職場でしか働いたことのない薬剤師にはない大きな武器になります。

いくつもの職場で働けば、職場によって必要となる知識やスキルも違うでしょうし、それだけ多くの人と関わってきたということでもありますから、コミュニケーション力をアピールすることもできます。

そういった、他の薬剤師と差別化を図れる要素は積極的にアピールするべきです。


○職務経歴書は使い方次第で大きな武器になる

多くの職場で働くことによって得た知識やスキル、経験や実績といったことは、使い方次第で大きな武器になります。

これまでに経験してきた科目、経験してきた役職(立場)や役割、経験してきた業務内容や実績、薬剤師以外の資格・・・等を伝える方法として、職務経歴書は大きな役目を果たすはずです。

どのような経験であっても、伝え方次第で、受け取る側の印象は大きく変わります。
自分をアピールする重要なツールである職務経歴書は、履歴書よりも力を入れてしっかりと作成するようにしましょう。

(注意)いくらアピールしたいからといって、絶対に嘘は書かないこと。
もし、バレた場合には、大きなトラブルに発展する恐れがあります。
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転職回数を気にするよりも

ここまで、薬剤師の転職市場の傾向、転職回数が多い人が取るべき方法について述べてきましたが、参考になりましたでしょうか。

転職回数が多い人の中には、ネガティブな考えを持っている人もいると思いますが、過去をあまり気にしても仕方ありません。

一番大事なことは、これから働こうと思っている病院や企業に対して「どれだけ貢献できるか」ということです。
それをしっかりとアピールすることを忘れないようにしてください。

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