キャリア , 転職のポイント - 薬剤師求人キャリアコラム -
ママ薬剤師が育児ブランクで復職する際の10のポイント
ママ薬剤師とブランク
ご存知のように、薬剤師資格の保有者は女性の方が圧倒的に多く、厚生労働省が行った調査(平成22年 医師・歯科医師・薬剤師調査の概況)でも、薬剤師の中で女性が占める割合は67%にも上ることが明らかになっています。
最近では、育児や家事に積極的に関わろうとする男性が増えていたり、男性の育児休暇に前向きな企業も増えていると言われてはいますが、現実には、多くの女性薬剤師が、出産や育児、親の介護や夫の単身赴任等の要因よって離職を余儀なくされています。
そのような女性薬剤師の中には、子育てや介護等の問題が落ち着いた頃に、再度薬剤師の職に復帰したいと考えてはいるものの、やはり、長期間現場から離れていたブランクによる不安は大きく、職場への復帰に高いハードルを感じる人も少なくないようです。
ブランクに対する不安
復職を考えている薬剤師が抱える不安で最も大きいものは、「自分が持っている知識や技術と、現在の職場で必要とされる知識や技術のギャップ」です。
製薬会社から次々に発売される新薬、医療技術の進歩、薬物療法の高度化や細分化、新しい概念の導入、薬価や調剤報酬の改定、法律の改正、設備の電子化やIT化・・・etc
薬剤師を取り巻く環境は常に変化し続けています。
薬剤師の仕事が患者さんの健康や生命に関わる以上、大きなミスは許されません。
そのようなプレッシャーの中で、未知の環境に対応し、適切に業務を遂行することができるか、そういったことに不安を抱えてしまうのも仕方ないと思います。
確かに、長期間のブランクは復職の障害になりますし、そのブランクの期間が長ければ長い程、そのギャップを埋める作業が大変なことも事実です。
だからといって、それを理由に復職を諦める必要はまったくありません。
どれだけ長期間のブランクがあったとしても、そのブランクを克服し、薬剤師に復職して活躍できる道は十分にあります。
ブランクを抱えていることに悲観的になる必要はありません
どうしても、ブランクを抱えていると不安ばかりが頭を過ぎり、悲観的になってしまう人も多いと思いますが、それほど心配しなくても大丈夫です。
時間がある時にでも、薬剤師の求人情報を調べてみて下さい。
ブランクのある人を募集している職場がいくらでも見つけられるはずです。
中には、新卒よりも、ブランクのある人を積極的に採用する企業も数多くあるほどです。
その理由は2つあります。
1つは、薬剤師の需要に対して供給が追いついておらず、業界全体でも薬剤師不足が慢性化している状態だということです。
特に新卒の薬剤師は、病院や企業への就職を志向する傾向にあり、多くの調剤薬局やドラッグストアの薬剤師不足は深刻な状況が続いています。
もう1つは、新卒を採用するよりも、例えブランクがあったとしても経験のある薬剤師を採用する方がメリットが大きいということです。
新卒の薬剤師を採用した場合、研修や教育や現場での指導に多くの時間や労力や金銭等のコストが必要になり、まともな戦力として仕事を任せられるようになるまでには2~3年掛かると言われていますが、ブランクがあっても現場で働いた経験を持つ薬剤師は、その多くが1年も掛からずに戦力となるといわれています。
特に、規制緩和や法律の改正、薬価や調剤報酬の改定、競争の激化等の問題に直面し、年々経営環境が厳しくなっている調剤薬局やドラッグストアにとっては、ブランク薬剤師を採用することで、コスト削減効果が見込めるという大きなメリットがあるのです。
但し、上記でも述べたように、ブランクを抱える薬剤師を積極的に採用している職場の多くは調剤薬局やドラッグストアであり、病院や企業でそのような採用方法を取っているところは非常に少ないです。
病院や企業への復職を希望している薬剤師は注意してください。
ブランクを抱えた薬剤師が復職する際の注意点
いくらブランクを抱えた薬剤師の求人の数が多いといっても、職場の選び方を間違えてしまうと、復職に失敗することになってしまいます。
復職を検討する際には、以下の点に注意するようにしてください。
①一番大事なのは仕事と家庭の両立
復職を考える理由は人それぞれだと思いますが、復職を検討する際に最も重視しなければならないのは、「どのようにして仕事と家庭を両立させるか」ということです。
その為には、事前に、家族やパートナーと今後の方針を話し合っておくこと、親族や親しい友人等のサポートが得られるかどうか確認しておくこと、万が一の際の対応方法等を検討しておくことが重要になります。
無理をしてお金を稼ぐことばかりを優先させても、最も大事にすべき家庭に悪い影響を与えるようでは復職する意味がありません。
②早めに準備に取り掛かること
自分が持っている知識や技術と、今の職場で必要とされる知識や技術のギャップを埋めるのには時間が掛かります。ブランクの期間が長ければ尚更です。
その為には、早めに準備に取り掛かるに越した事はありません。
書籍やネットからでも多くの情報を得る事はできますし、多くの団体や企業が開催している研修や勉強会やセミナー等も活用できるはずです。
但し、座学で習得できることには限りがあります。
やはり、実際の現場で実践しながら身に付けることに勝る方法はありません。
ある程度の予備知識を身に付けたら、実際の現場で学ぶ覚悟を持つようにしてください。
③子育てに理解がある職場を選ぶこと
職場を選ぶ際の条件は人それぞれだと思いますが、子育てと平行して働く場合には、そういった事情に理解ある職場を選ぶことが重要になります。
特に子供が小さいうちは、園の送り迎えだけでなく、園や学校の行事も多いですし、突発的に病気に罹ることもあります。
そういった事情に理解ある職場でないと、実際に働きだしてから、身体的にも精神的にもかなりの苦労を強いられることになります。
④複数の薬剤師が在籍している職場を選ぶこと
ブランク明けでの一人調剤は絶対に避けるべきです。リスクが大き過ぎます。
複数の薬剤師が在籍している職場であれば、何か分からないことがあってもすぐに聞くことができますし、子供の病気や事故等、急に何らかの事情が発生した場合でも、他の薬剤師がカバーしてくれるはずです。
⑤忙し過ぎる職場は避けること
非常に患者さんの数が多い職場、調剤に手間の掛かる薬や取り扱う薬の種類が多い職場は避けた方が無難です。
ブランク明けでいきなりそのような職場に就職してしまうと、患者さんの多さや作業の大変さについて行けず、ミスをする可能性が高くなってしまいます。
また、そのように忙しい職場だと、他の薬剤師も自分のことで手一杯になり、適切な教育や指導を受けることも難しくなります。
⑥総合病院の門前薬局は避けること
総合病院の門前薬局は、上記のように、患者さんや取り扱う薬の種類が多いので、ブランク明けの薬剤師の職場にはあまり適しません。
ブランク明けの薬剤師が業務に慣れるまでには、どうしてもある程度の時間が掛かります。
調剤のミスを予防し、スムーズに復職を遂げる為には、単科の調剤をメインに処方している職場の方が良いと思います。
⑦大手等の研修制度が充実している職場を選ぶこと
個人経営や小規模の薬局を選ぶことが悪い訳ではありませんが、やはり、知識や技術の不安を解消する為には、研修や教育制度が充実している大手チェーンや大規模に事業を展開している職場に就職する方が何かと安心です。
大手の場合、業務内容のマニュアル化が進んでいる職場も多いので、業務に慣れる時間もそれほど多くは掛からないでしょう。
⑧パートから始める方が無難
復職後、いきなりフルタイムの正社員になるのも悪くはありませんが、正社員だと、それなりに責任も大きくなりますし、ブランク明けで他の薬剤師よりも知識やスキルに劣ることがプレッシャーにもなります。
まずは、知識や技術のギャップを埋めることを考え、薬剤師としての勘を取り戻していく為には、パートから始める方法をお勧めします。
正社員になるのは、それからでも遅くはありません。
それに、パートであれば、働く曜日や時間帯等を選ぶこともできる為、子育て中の薬剤師にとってはメリットも大きいはずです。
⑨派遣薬剤師は避けた方が良い場合もある
ブランク明けの薬剤師に派遣を勧める人もいますが、私は避けた方が良いと思います。
何故なら、「派遣薬剤師=即戦力」だからです。
派遣薬剤師の時給は、一般のパートよりもかなり高めに設定されています。
その理由は、薬剤師を採用したくてもなかなか採用できない職場や、やむを得ず高い時給を払ってでも一時的な穴を埋める必要がある職場が派遣薬剤師を使うからです。 そんな派遣薬剤師に求められるのは、「即戦力」としての役目です。
薬剤師の派遣会社の中には、研修や教育制度を用意しているところもありますが、派遣薬剤師に求められる知識やスキルを身に付けるまでは仕事に就けないことも多いです。
復職するまでに時間的な余裕があるのならば問題はありませんが、あまり余裕がない場合には、パートで働きながら少しずつ慣れていくか、研修や教育制度が充実している職場に就職した方が良いと思います。
⑩以前働いていた職場に復職する
誰でも使える方法ではありませんが、以前働いていた職場が薬剤師を募集しているようであれば、そこで働くことには様々なメリットがあります。
まず、当時一緒に働いていた人が残っているのであれば、スムーズに職場に溶け込むことができますし、ある程度自分の事情や人間性も理解してくれているはずですから、就職後に人間関係での問題が発生する可能性も低くなります。
当然、仕事にも早く慣れることができるでしょうし、そうなれば、採用側にとっても教育や指導に掛かるコストを減らせる等、両方にとってメリットがあります。
但し、その職場が大手チェーンの場合には注意が必要です。
大手チェーンの場合には、人員が一新していることもありますし、元の職場に戻りたいと希望していたとしても、それが叶えられるかどうかは会社側の都合に左右されます。
補足とまとめ
薬剤師業界においては、ブランクがあることは何も特別なことではありません。
既に多くの薬剤師がブランクを克服し、現場の第一線で活躍しています。
ブランクを克服する方法は、上記に挙げたものだけではありません。
既にブランクを克服した多くの先輩方の経験や意見を聞いたり、ブランクを克服した方法等を知ることも不安を解消する一つの方法だと思いますし、他にも、豊富な経験とスキルと持った優秀なキャリアコンサルタントに相談することも有効な方法だと思います。
出来る限りの対策と準備を行い、理想的なライフスタイルを実現してください。
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